リーデル ソムリエ・ブラックタイ・ヴィンテージシャンパーニュを使ってみた感想 使用レビュー
ソムリエシリーズはワインの個性を伝えるためだけにチューニングされ、デザインは装飾も無く、とてもシンプルな作りと言えます。リーデルにおいて最高峰のシリーズのひとつですが、そんなソムリエシリーズの「ブラックタイ」とは如何なるグラスか徹底解明していきます。
リーデル公式による説明は以下の通りですが、その前に結論から言うとこれほどの名作を手にすることは滅多にないと言える、そのくらい素晴らしい1客です。
9代目クラウス・リーデルにより生み出された『ブルゴーニュ・グラン・クリュ』グラスが、1958 年のブリュッセル世界万博で発表され、その画期的なコンセプトと際立った美しさで注目を集めました。 この『ブルゴーニュ・グラン・クリュ』グラス誕生50周年を記念して創られた新シリーズが<ソムリエ ブラック・タイ シリーズ>です。 オリジナルのボウル形状はそのままに、これまでの<ソムリエ>よりもさらに背が高く、部分的に黒を配したクラシックでエレガントな佇まいが特徴的です。
https://shop.riedel.co.jp/products/detail.php?product_id=43
今回はこのソムリエ・ブラックタイ・ヴィンテージ・シャンパーニュをレビューしていきます。
リーデル公式のスペック
- 高さ262 mm
- 製法ハンドメイド
- 容量330 ml
- 素材クリスタルガラス
- 生産国オーストリア
- デザイン年2008年
- 販売数量1個
最適な葡萄品種
シャンパーニュ、キュヴェ・プレスティージュ、ヴィンテージ・シャンパーニュ、ヴィンテージ・スパークリング・ワイン、ロゼ・シャンパーニュとなっています。このあたりはソムリエシリーズと変わりません。
ソムリエブラックタイの見た目
部分的に配した黒が特徴的なグラスです。以前に投稿したこちらの記事『リーデル史上最も美しいグラス?ハイ・パフォーマンスシリーズとは』で紹介したハイパフォーマンスの見た目のインパクトには若干欠けますが、こちらも十分テーブルに華を添えてくれます。黒を取り入れることで全体的に落ち着いて引き締まった印象を受けます。
ボウル部分の形状はソムリエ・ヴィンテージシャンパーニュとほぼ同一です。ヴィノムシリーズにも「ヴィノム・ヴィンテージシャンパーニュ」がありますが、形状は少し異なります。
今回のブラックタイ・ヴィンテージシャンパーニュは大きさの違いはあるものの、形状はどちらかと言うと「ヴィノム・キュヴェ・プレスティージュ」に近いと言えますので、比較対象としてはそちらを使わせていただきます。
下の画像のヴィノム・ヴィンテージシャンパーニュですが、ボウル部分のボトムからミドルにかけてわずかにシュッとしているのがわかると思います。
反対に今回のブラックタイやキュヴェ・プレスティージュの方は微妙に膨らんでいますが、このふくらみによって、ワインと空気の接触面積や香りをとどめる空間の容積が大きくなり、複雑な香りを感じやすくなると言っています。
そしてソムリエシリーズとの違いはただ配色が違うというだけではありません。容量はソムリエ、ソムリエ・ブラックタイともに330mlで変わらないのですが、ソムリエシリーズよりも細身で背を高くすることによって、正装した紳士に見えることから『ブラックタイ』と名付けられています。なので全体的にソムリエシリーズよりも2〜3cmほど背が高くなっています。ちなみにヴィノム・キュヴェ・プレスティージュは容量が230mlと小ぶりで、ステムも短めです。
ソムリエブラックタイシリーズの赤ワイン用はステムが黒くなっています。一方白ワイン用のステムはクリアーですが、プレートが黒くなっています。その理由は白ワインの場合、ステムを黒くするとワインに黒が映ってしまうからです。逆に赤ワインの場合、ワインの色とステムの色が一体的となり、美しさをよりいっそう引き立たせます。今回使用するのはシャンパーニュ用なのでステムはクリアーでプレートに黒の配色です。プレートのロゴはハンドメイドの証と言える筆記体で記されています。
手に持ってみた感じは?
ステムのちょうど手で持つあたりの太さを計測してみます。
5.15mmでした。ヴィノム・キュヴェ・プレスティージュは6.0mmだったので比べると細めですが、グラス自体が非常に軽いため持ちにくいといった感じは全くなく、指に吸い付くような感覚で手との一体感が大変心地良いです。
重さは119gですから非常に軽いです。
ちなみにヴィノム・キュヴェ・プレスティージュは120gですが容量の違いが100mlありますので、それを考えるとブラックタイがいかに軽いかが分かると思います。
グラスの厚みは0.95mmと、やはりハンドメイドならではの薄さを実現しています。他の記事で何度も書いていますが、薄さは飲みやすさに大きく影響するため、かなり重要なポイントです。
グラスに注いでみた
ヴーヴクリコ・イエローラベルを注いでみます。
グラスの中心から立ち昇る泡が素晴らしいです。フランス語で真珠を意味する「perle(ペルル)」と呼ぶに相応しい美しさと言えます。シャンパーニュ好きにとってはこの綺麗な泡の立ち方に秘密があることはよく知っていることと思います。
これは空のグラスを上から覗き込んだ写真ですが、中心(矢印の部分)に小さなキズがあるのがわかるでしょうか。ホントによく見ないとわからないと思いますが、もちろん欠陥品ではありません。実はこのキズが綺麗な泡を作るカギとなっているのです。
このキズから泡が発生しているのがわかると思います。
泡の量は適量があり、多過ぎても少な過ぎても良くありません。泡の量と味の関係について研究している人もいるくらいです。
実際に飲んでみた
立ち上る泡がほどよく、フレッシュな香りを感じることができます。グラスのすぼまりがアロマを留めながら、少しずつ開放される印象です。
グラスの口当たりはその薄さから全く抵抗が無く、ワインが自然に口の中に入ってきます。
泡の爽快感の直後にはブドウ由来のフレッシュな酸味とフルーティさをしっかりと感じさせてくれます。ほどよい甘味が余韻として残り、ワインの持つポテンシャルを最大限に引き出している印象です。
シャンパングラスというと下の画像のようないわゆる「シャンパンフルート」をイメージされる方も多いと思いますが、アロマを感じにくかったりした経験はありませんか?
ストレートな形状のため泡のすっきりとした爽快感を感じるのには向いています。例えばちょっとお洒落な焼肉屋さんにあるとベストです。ただ、ワインをメインに楽しむのには不向きです。ブドウ由来のアロマを感じるのにはやはり膨らみのある形状の方が向いていることがわかります。
まとめ
冒頭に述べた通りこれほどの名作に巡り会えたことは私にとって、非常に幸運なことだと思います。
爽快感を損なわず、しっかりとしたアロマも感じられ、美しさと機能性を兼ね備えたまさにシャンパーニュグラスの完成形と言える「至高の1客」です。
上質なワインがベストなコンディションで用意できたなら、あとはこの1客があれば最高の演出となることは間違いないでしょう。
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