100均のグラスと有名ブランドの高価なグラス 値段相応の違いはあるのか?

ウイスキー

100均のグラスと有名ブランドグラス 使ってみて思うこと

私はよく100均に行くのですが、必ず立ち寄るところがグラスのコーナーです。最近は100均のグラスもかなり高品質になり感心しています。薄造りのタンブラーやビールグラスなど普段使いにはまったく問題ないような物が多くなり、日本製の物もあったりして100均だからと侮れません。

私はワイングラスやウイスキーグラスなど普段から専用のグラスを使用していますが、あまりこだわらない人からすると(何が違うの?)と思われることが結構あるようです。

「100円のグラスの方が気軽に使えて良い。高価なグラスは値段なりの価値があるのか?」という意見に関してはその人の考え方なので全く否定するつもりはありません。

それを踏まえた上で私が思う事を言わせていただきたいと思います。

下の画像の右側のグラスはダイソーで売っている税込み330円と100均の中では少し高価なグラスです。知っている人も多いと思いますが「Royal Brierley(ロイヤルブライアリー)」の物です。

ROYAL BRIERLEY(ロイヤルブライアリー)

イギリスのクリスタルグラスブランドとして、もっとも歴史が長く有名なRoyal Brierly(ロイヤルブライアリー)は、1776に創業。
その後240年以上、15世代に渡り、その技術が受け継がれていきました。

CRUXonlineより引用

通常ですと安くても1客3,000円~ちょっと良いものだと数万円するのもありますので驚きです。ただ作りに関してはプレートのガタつきやステムの装飾が指にひっかかる感じなど、細かいことを言い出すときりがありませんが、ロイヤルブライアリーのグラスが330円で売られているのは事実です。ちなみに個体差がかなりあり、中にはボウル部分に凹みのある物もありました。

プレートのガタつきに関しては個体差ではなく全てにありましたので製造工程でどうしてもできてしまうものなのでしょう。気になる方はヤスリなどで削る必要があります。

それを踏まえて330円という値段が高いか安いか判断してください。

さて、実は私が驚いたのはロイヤルブライアリーではなく、画像のもう1客のグラスです。

「instead of lead. this glass contains potassium oxide which was produced by refined charcoal.」

「鉛の代わりに木炭を原料として産出した酸化カリウムを混ぜています。」とカリクリスタルの説明が書かれています。

一般的に鉛を含むクリスタル(代表的にはバカラ、リーデルなど)に比べ透明度は劣ると言われていますが、実際にはかなりクリアです。爪ではじいたときの音もクリスタル系の伸びやかなサスティーンがあります。

このグラスはシャンパングラスのようですが、容量はそれほど大きくないです。

大量生産のグラスによく見られるのですが、リムが丸くなるということもこのグラスにはありません。

下の画像は別のグラスです。

膨らんでいるため口に当てた時違和感の原因となる。
液体はここを乗り越えなければならずスムーズに流れない。

220円でこの品質であれば私は安いと思います。先に紹介したロイヤルブライアリーのグラスとどちらか1客を選べと言われたらなんの迷いもなくこちらを選びます。

で、何が言いたいのかというと、有名ブランドだから必ずしも良いものであるとは限らないし、当然無名であっても良いものはあるということです。

さて、それでは220円のグラスと数万円するグラス。高価なグラスは値段に見合った価値があるのか?ということに関しての私の見解は「ものによる」ということです。

「そんなの当たり前じゃないか⁈」と怒られそうですがまあ最後まで聞いてください。

私は過去に5年間だけ金属加工の仕事をしていた経験があり、刃物の製作なんかもしていたことがありました(2022.1月現在はリサイクルアーティストとして活動中)。ガラスと金属、扱うものは違いますが、「ものづくり」ということに関して言えば一緒です。その経験からわかったことがあります。

例えば完成した製品を「商品」として売り出すには一定の基準を満たしていなければなりませんが、仮にその基準を80点とします。79点では売り出すことができないため残念ながら廃棄処分となります。

実は80点の物をたくさん作ることはそれほど大変なことではありません。基準を満たしてさえいれば良いわけですから。それよりも100点の物を1個作る方がはるかに難しいのです。

「パレートの法則」には賛否あると思いますが、それを発展させて考えてみます。

仮に100点の物を作れるようになるまで100時間かかるとします。その中で80点の物を作れるようになるまでに必要な時間は全体の2割程度、つまり20時間です。80点から100点まで精度を高めるためには全体の8割の時間(80時間)が必要です。たかが20点の違いですがその20点には見た目の点数以上の価値があります。さらに言えば一流メーカーの基準は他社よりも厳しい基準を設けていて、その基準を90点に設定しているかもしれません。そこに値段の違いが生まれるのだと考えます。完成度が100点に近づくほど価値はまるで指数関数のように上がっていくものだと思っています。

しかし残念ながら一流ブランドの高価なグラスであっても値段ほどの価値を感じられない物もあるのは事実です。なので「ものによる」と曖昧な言い方になってしまいます。

ちなみにトップの画像の一番奥のグラスはリーデルの「ソムリエブラックタイ・ヴィンテージシャンパーニュ」です。以前こちらの記事で紹介していて、少しマニアックなグラスかもしれませんが、私は100点に近いグラスと思っています。

良いグラスを使っているともう一つ良いことがあります。それは「大事に扱うようになる」ということです。私はグラスを100種類以上所有していますが、値段は関係なくどのグラスもすごく丁寧に扱っています。

たまに聞くのですが、「もうこのグラス何客も割ってるよ(笑)」とか、「嫁が洗っているときに割っちゃってさー。」みたいな会話。私に言わせれば(何自慢?自分で洗ったら?)ですね。

普段何気なく使っているグラスも、作り手のことや開発から製作に至るまでの過程に思いをはせてみてください。値段は関係なくどんなグラスも愛おしくなってくると思います。

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